銃夢
独特な世界観が魅力的なSF漫画
クズ鉄町と呼ばれるスクラップの山の中から奇跡的に発見された少女型サイボーグのガリィが、自身の失われた記憶を求めて生きる物語。
ザレムと呼ばれる空中都市と、そのザレムからのスクラップが捨てられて出来上がったクズ鉄町を舞台に繰り広げられる独特な世界観が特徴的な漫画だ。
とても癖の強い漫画で、合う人にはとことん合うだろうし、合わない人には合わない。
良くも悪くもはっきりと好みが分かれる漫画だと思う。
退廃的な世界観のようで、人情味溢れるキャラクターが登場したり、SFでありながら格闘技による戦いがメインであったりと変わった漫画でもある。
普通の宇宙戦艦やロボットがテーマとして扱われているSF漫画を想像しているとそのギャップにびっくりするかもしれない。
サイコメトリーや仏教の業の概念など、様々な要素が色々合わさっているのも特徴だ。
ただ、世界観的に命が軽く、人があっさりと死んでいくのであまり子供向けの漫画ではないと思う。
たとえ絶望しても生きるべき
私がお勧めしたいのは主人公、ガリィの敵として登場するノヴァ教授が自分の弟子に語りかけるシーン。
ノヴァ教授の弟子であるロスコーは世界について考えていくうちに、そのあまりの残酷さを嘆いて自殺してしまう。
そうして人格をコピーしたロボットだけが残るのだが、そのロボットに対してノヴァ教授が語る。
どんなに絶望しても生きるべきだと。
ノヴァ教授というのは、実験のためならば人の命や禁忌などものともしないマッドサイエンティストといわれるタイプの研究者だ。
そんなノヴァ教授だからこそ、このような発言は衝撃だった。
世界が残酷であっても、人間という存在がただの化学反応であっても、生きていなければ才能が実を結ぶことはない。
ノヴァ教授のこの発言は、すごく考えさせられる発言だと思う。
機械の体でも意思がある
この漫画では、よく主人公のガリィが自分と同じくサイボーグ相手に戦うシーンが登場する。
主人公は普段はテクニカルな動きによる冷静な戦いをしているが、本気を出した時には闘争本能をむき出しにして戦うことが多い。
これはサイボーグの戦いとして考えるとおかしな話に思えるかもしれないが、サイボーグであっても意思の力というのは大きいということを表している。
むしろ機械の性能のみに頼っていては一流のサイボーグ相手には勝てないというシーンが数多く登場する。
前述のノヴァ教授もそうだが、未来のサイバネティック技術の粋を集めたよう世界であっても、重要なのは人の意思だという考えがこの漫画にはある。
この部分が、人が簡単に死んでいく漫画なのにそれほど嫌な気分にならない最大の要因なのかもしれない。
意思を持って行動しているか、人生を生きているかと思わず自問自答してしまう。
SF好きな人はもちろん、変わった漫画が読みたい人などにお勧めしたい漫画だ。
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